ダルマストーブの時代と違ってストーブ,
煙突共沢山の種類があり、夫々機能、性能、
目的が異なります。
姿、形や価格、他人任せは失敗の元、
自分の目的にあわせて選んでください。
“良く燃える”と“良く温まる”はまったく別のこと。
主暖房として建物全体を暖めたいのか?
インテリアとして炎を楽しみたいのか?
料理をしたいのか?
オーダーする前に、はっきり目的、
条件を伝えて適したものかどうか確認してください。
ネットや雑誌など沢山の情報が溢れていますが、
販売店のショールームで現物を見ながらご相談するのが一番です。
*インテリア・補助暖房
暖房能力は二次的に考えて好みのスタイル、装飾性中心に考えてよいでしょう。
北欧製品には家具・インテリアとしての良いデザインが沢山あります。
*主暖房
暖房能力最優先。 暖房したい面積、吹き抜けの有無、地域の外気温、建物の断熱性、
機密性、そして燃費も重要な要素、機種によっては倍の燃料が必要になります。
当然、暖炉タイプは諦めて下さい。
*別荘・セカンドハウス
1ランク暖房能力の高いもの、そして立ち上がりの早いものを選びましょう。
永住住宅と違って普段住んでいないと建物が冷え切ってしまい、温まるまで数時間を要します。
キャタリティックコンバスター(触媒)方式や、
クリーンバーン方式は無駄に排出される煙までも燃料として燃焼させる為、
燃焼効率が高く煙突からの煙は殆ど見えず、地球に優しいストーブです。
*キャタリティックコンバスター(触媒)方式
ハニカム(蜂の巣)状の構造体に白金又はパラジュームをコーテイングした
触媒に煙が触れて着火し再燃焼(二次燃焼)を起こします。
通常二次燃焼には550°以上の温度が必要ですが、触媒作用により260°程度で着火します。
このことは、無駄に排出される煙をも燃料として使うことになり、およそ25%の薪の節約になります。
*クリーンバーン方式
炉室上部に設けられた空気口から、熱せられた新鮮空気(二次空気)を供給し、
煙を燃焼させる方式。同じ炉室で二次燃焼(ガス燃焼)が起こる為、美しい炎が見られる。
構造がシンプルでメンテナンスや取り扱いが容易。
“似て非なるもの”と云っても良いでしょう。
構造的には炉がオープンになっているものが暖炉、
閉じられているものがストーブ。
但し、ビルトイン型のストーブのように、
暖炉風に壁に埋め込むタイプのように両方の長所を備えたものもあります。
*暖炉
装飾性に優れたオリジナルデザインが作りやすい。
パチパチと薪のはぜる音、薪の匂いなど、裸火の魅力は尽きない。
反面、炉の開口部が大きく、温まった空気が屋外に排出され、
燃焼に必要な外気も大量に流入する為、室内が暖まりにくい。
*ストーブ
暖房能力が高く、5~60坪のスペースでも1台で暖められる。
分厚い鋳物や蓄熱ストーンからの輻射熱や、
遠赤外線による柔らかな独特のぬくもりは温風式などの暖房機では得られないもの。
ピザや煮込みなどストーブクッキングも楽しみの一つ。
自分で取りつけをする場合、一番間違いやすいのが煙突。
壁から外へ出して終わりだったり、何メートルも横引きしてあったり、・・・
煙突の役割、必要な機能を良く理解して計画しましょう。
“煙が戻って燃やせない”相談の殆どが煙突設計の誤り、事前にプロにご相談下さい。
予算的にもストーブと同等、或いはそれ以上と考えてください。
ストーブは少々我慢しても、煙突は妥協しないで下さい。
ストーブの買い替えは簡単ですが、煙突は大工事になってしまいます。
煙突の機能;
煙突はストーブ(暖炉)と一体となった“燃焼システム”の重要な構成要素です。
その役割は排煙ですが、ドラフト(煙を引く力)を得ることです。
ドラフトが弱ければチョッとした風や、着火のたびに家中煙だらけ、
100万円のストーブでも、只の飾りに終わります。
設計;
煙突はストーブ本体、建物構造、屋根形状・材質、周囲の風の流れ・強さなど、
様々な要素に、建築基準法、消防法、地域の条例などの法規制、安全性、雪対策、
メンテナンス性などを加味してやっと決まるものです。
基本的には、ストーブの口元からの高さが曲がり無しで4m以上、
横引きは1m以下で高さ5m以上、径はストーブの指定されたもの、
風の強い場所ではトップの形状も重要。
但し、あくまでも原則ですから慎重に計画してください。
安全性;機能はもちろん重要ですが、それにも増して重要なのは安全性。
折角楽しい生活が始まっても、火災になっては一大事、十分な安全対策が必要です。
断熱煙突は高価ですが安全性の他、機能面(保温性・断熱性)からも欠かせない部材です。
ドラフトは温まった空気(煙)が軽くなって上昇して起こるもの。
外部に出た煙突が冷やされればドラフトは低下し、
冷やされた煙は結露,固化して煙突を詰まらせます。
薪ストーブの燃料は“薪”です。
薪と言えば日本ではナラ、クヌギが代表的。
堅木で火持ちが良く、ヤニが少ない為です。
腐った倒木や廃材などは火力が無いばかりか、
タールの発生で煙突を詰まらせます。
針葉樹類、特に赤松は高温燃焼では軽く1000°を越えて炉を痛め、
低温燃焼ではヤニが溶けて上昇し、
煙頂部で冷やされてヤニに戻って掃除不能なほど煙突を詰まらせます。
逆に着火時などは着火しやすく、大変重宝な木ですから、
温度、量などに注意して有効に活用してください。
先ず煙突掃除、どんなにうまく使っても段々詰まってきます。
“燃えが悪いな”“部屋が戻るな“と思ったら掃除をしてください。
詰まりを少なく出来る薬品も有りますから、使うのも良いでしょう。
忘れがちなのが本体のメンテナンス。
オフシーズンには灰を綺麗に掃除しましょう。
ストーブは鉄で出来ていますから湿気を吸うと錆びてしまいます。
灰も鋳物も水分をしやすい性質ですから。
二次燃焼室の有るストーブでは、
ここにも灰が溜まってきますから煙突掃除の時、
一緒に掃除すると良いでしょう。
火力調整や、ガラスクリーニングが効きにくくなったら、
ドアなどに付いているファイバーロープ(パッキン)を交換してください。
そんなに難しくありませんが、苦手な方は相談してください。
ストーブの性能を維持し、快適に使うには年に一度はメンテナンスしましょう。
良く手入れストーブは子供の代にも伝えられるでしょう。
“有料ですが全てのメンテナンスのお手伝いが出来ます。”
“炉台”とはストーブの下や後ろの壁などに熱を伝えない目的で設ける断熱構造物。
一般的にレンガが多い。
薪ストーブは基本的に前後,左右,上下の全パネル面から放熱する為、
床や壁などの可燃物に熱を伝えないようにする必要があります。
このた為、レンガや石材などの不燃材で床や壁などを覆いますが、
材料が不燃材というだけでは不十分です。
例えば10cmのレンガでも、可燃物に密着させれば、
レンガが焼けてくれば、熱を伝えてしまいます。
耐火煉瓦だからと油断は禁物。可燃物との間に25mm以上の空気層を設けてください。
空気は優れた断熱材ですから、十分な空間があれば鉄板の衝立でも効果は得られます。
ストーブによってはリアシートシールド、ボトムヒートシールドといった
専用遮熱部材が用意されていたり、標準で付いているものもあり、
可燃物から15cm程度の離隔距離で設置で出来るものも有ります。